介護で役立つ高齢者の身体的な特徴や変化

高齢者の多い介護現場では、日頃から利用者の健康状態や異常の発見、あるいは不調の訴えに対して、常に注意が必要だ。これを怠ると、症状の悪化や重症化によって、深刻な事態を招くことになるからだ。

もし少しでも利用者に異常や異変を感じたら、速やかに専門領域にあたる医師や看護師に連絡する必要がある。介護職としては、高齢者ならではの身体的な特徴や変化についてあらかじめよく知っておくことが求められる。

まず高齢者で最も顕著な特徴は、感覚の鈍さである。人間は年齢を重ねるにつれて、感覚器官に衰えをきたすのが一般的だ。例えば、痛みに対しては反応が鈍くなるため、その分だけ訴えが少なくなる。

また、症状の軽い初期段階でも、なかなか異常を訴えないケースも珍しくない。この点をよく理解しておかないと、身体の異変や変化を見過ごしてしまうことになる。大きなトラブルにつながりかねないため、介護職にとっては要注意だ。

もう1つ代表的な特徴は、脱水しやすいことが挙げられる。高齢者は筋肉が少ない上、腎臓の働きが低下しているケースも珍しくない。

腎臓の働きが低下すると、全体的に身体の水分量が減少する。そのため、ちょっとした発汗や高温あるいは乾燥した環境下だけでも、脱水しやすくなるのだ。

もちろんそのままにしておくと、深刻な病気を招いたり、最悪のケースでは急性的に命を危険にさらすことにもなる。介護現場では利用者本人から水の要求がなくてもこまめに水分や栄養の状態をチェックし、必要に応じ速やかに補給しなければならない。